科学的情報を商業的食品・飼料製品に転換する際の規制に関する知識の重要性

このブログでは、規制に関する知識が研究開発(R&D)を手助けする方法、さらには研究を商業的に規制のある新規食品・飼料製品に転換する方法について簡単に説明します。ここで重要なのは、食品や飼料の事業者は、その新製品が安全であることを証明しなければならないということです。

食品・飼料製品を新たに生み出す研究開発(R&D)プロセスにおいては、豊富なイノベーション、科学、そして様々な科学的研究が必要とされます。新規食品、食品・飼料添加物、食品接触物質など、規制対象となる新しい食品・飼料製品は、EU、英国、米国、カナダ、オーストラリア、ブラジル、中国、シンガポールなどで合法的に市販される前に、市販前認可が必要となります。EUでは申請後、欧州委員会(EC)が認可を与えますし、英国では英国政府閣僚、米国では食品医薬品局(FDA)がそれぞれの認可機関となっています。

Regulatory knowledge in food and feed R&D

認可に必要な情報の主要部分は、技術データと安全性データである

食品添加物や飼料添加物のような新規規制製品の認可を申請する際には、該当する行政情報、技術情報、安全性情報を記載した申請書類を評価機関に提出しなければなりません。EUでは欧州食品安全機関(EFSA)が、英国では食品基準庁(FSA)が、米国ではFDAが申請書類を審査します。技術情報に含まれるものは、例えば、新規食品または飼料の製造工程や化学組成、化学的および微生物学的汚染物質に関するデータです。安全性情報は、ヒト、動物、家畜に対する毒性学的データから、環境への毒性学的影響に関するデータまで多岐にわたります。また、栄養、アレルゲン性、新商品の有効性に関するデータも必要となる場合があります。

以上のことから、新規食品・飼料の開発者は、当局がどのようなデータを要求しているのか、また要求されているデータの質はどの程度なのかを把握しておく必要があります。研究開発には莫大な費用と時間がかかるため、研究開発プロジェクト全体の初期段階で必要なデータを把握しておけば、最初から正しいスタートを切ることができます。規制当局は、技術的・科学的データ要件に関する詳細かつ広範にわたるガイダンス文書を提供しています。このようなガイダンスは非常に有用ではあるものの、その解釈には科学的、法規的、リスクアセスメント的な知識が必要です。場合によっては、正しい法的解釈を得るために、EC、FDA、FSAに直接問い合わせる必要もあります。

データ作成において高品質の方法と試験が非常に重要

申請書類を通らせるためには、その科学的データが、毒性学的手法であれ分析手法であれ、高品質の手法で作成されていることが最も重要です。試験所の認定と、国際的に認められたプロトコールに従った適切な方法のバリデーションも、成功のために重要な要素となります。多くの分析では、確立された標的分析技術が非常に重要ですが、非標的分析法では、組成学的研究と毒性学的研究の両方に非常に有用なツールを提供することができます。

要求される毒性学的試験に関しては、通常、経済協力開発機構(OECD)が発行した試験ガイドラインに従って行います。高い品質と適切な動物福祉を確保するため、毒性学的試験は、優良試験所基準(GLP)に準拠した試験施設で実施しなければなりません。飼料添加物に関しては、EFSAとFDAが、家畜とペットを対象とした標的動物毒性(耐性)試験の実施に関する優れたガイダンスを提供しています。これらのデータは、新規規制製品の申請書類に組み込まれ、EFSA、米国FDA、英国FSA、またはシンガポール、カナダ、オーストラリア、ブラジルなどのFSAなどの評価機関に提出されます。

メドファイルズの食品・栄養・飼料チームでは、上記のような食品・飼料規制の側面を日常業務としています。簡単にではありましたが、このブログを読んでいただき、科学を新しい商業規制食品・飼料製品に転換する際に、規制に関する知識が研究開発にどのように役立つかを少しでもご理解いただけたなら幸いです。
この件に関してさらにご質問等ございましたら、お気軽に当社までご相談ください。お読みいただきありがとうございました!


著者: マリ・エスコラ博士、食品・栄養・飼料、薬事シニアエキスパート

このブログの大部分は、第10回国際食品分析シンポジウム(2022年9月6-9日、チェコ共和国プラハ)の講演要旨集 (こちら(英語のみ)で入手可能です)に掲載されたものです。

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